一人暮らしの安心を増やす 頼れる人・頼れることリストの作り方
はじめに:もしもの時に「誰に頼る?」を考えてみましょう
一人暮らしをされていると、「もしも、急に体調が悪くなったらどうしよう」「電球を替えたいけれど、高いところが不安だな」「書類の手続きで分からないことがあるけれど、聞ける人がいないな」など、ちょっとしたことから緊急時まで、誰かの手を借りたい、誰かに相談したいと思うことがあるかもしれません。
普段は気丈に過ごしていても、ふとした瞬間に「この先、一人で大丈夫かしら」と漠然とした不安を感じることもあるかもしれません。
そんな不安を少しでも和らげ、いざという時に慌てず対応できるように、「頼れる人」と「頼れること」をあらかじめ整理しておくことがとても大切です。ご自身の周りにいる人や利用できるサービスなどを書き出して、自分だけの「頼れるリスト」を作ってみませんか。このリストは、あなたが安心して暮らし続けるための、心強いお守りになります。
なぜ「頼れる人・頼れることリスト」が必要なのでしょうか?
このリストを作っておくことには、いくつかの大切な意味があります。
安心感が生まれる
「困ったときに誰に頼めば良いのか分からない」という状況そのものが、大きな不安につながります。リストがあれば、「この件ならあの人に」「この手続きならあの機関に」と、具体的な対応策が見えるため、気持ちにゆとりが生まれます。
いざという時に迅速に対応できる
緊急時や体調が優れない時など、すぐに判断が必要な場面で、「誰に連絡しよう」「どうすれば良いのだろう」と迷う時間を減らせます。リストを見れば、すぐに適切な人や場所に連絡できます。
適切なサポートを受けやすくなる
誰にどんなことを頼めるかを整理しておくことで、自分に必要なサポートの種類が明確になります。また、リストを信頼できる家族や友人と共有しておけば、もしもの時にあなたが動けなくても、周りの人がリストを見て必要な対応をとってくれる可能性が高まります。
リスト作成のステップ1:誰に頼れるか考えてみましょう
まずは、あなたの周りにいる「頼れるかもしれない人」を思いつくままに書き出してみましょう。血縁関係だけでなく、あなたのことを気にかけてくれる人ならどなたでも構いません。
- 家族: 離れて暮らすお子さん、お孫さん、ごきょうだいなど
- 友人・知人: 長年の友人、趣味のサークルの仲間、かつての同僚など
- ご近所の方: 日頃から挨拶を交わす方、自治会などで一緒になる方など
- 民生委員・社会福祉協議会: 地域で暮らしを支える活動をしている方々です。
- 地域包括支援センター: 高齢者の暮らしを多角的に支える地域の拠点です。
- かかりつけ医、薬剤師: 健康面での相談や、体調急変時の対応について。
- ケアマネジャー、ホームヘルパー: 介護サービスを利用している場合。
- 行政の相談窓口: 市区町村の担当部署など。
- 利用しているサービス事業者: 配食サービス、見守りサービスなど。
どの方にどのようなことを頼めるかは、その方との関係性や状況によって異なります。無理のない範囲で、日頃から軽い挨拶や声かけをしておくことも、いざという時に頼みやすくなる第一歩です。
リスト作成のステップ2:どんなことを頼めるか具体的に書き出しましょう
次に、ステップ1で書き出したそれぞれの「頼れる人」や「場所」に対して、具体的に「どんなことを頼めるか」「どんな相談ができるか」を考えて書き加えていきます。
例えば、
- お子さん、お孫さん:
- 定期的な安否確認の連絡(電話、LINEなど)
- 緊急時の駆けつけや病院への付き添い
- 大きな買い物や手続きの代行
- パソコンやスマートフォンの操作サポート
- ご近所の方:
- 郵便物の一時保管、回覧板のお届け
- 急な体調不良時に救急車を呼んでもらう、声かけ
- 旅行中のペットの世話、植木の水やり
- 簡単な力仕事(重いものの移動など)
- 地域包括支援センター:
- 介護や医療、健康に関する相談
- 利用できる公的サービスについての情報提供
- 地域の様々な活動やサービスの紹介
- どこに相談して良いか分からない困りごとの相談
- かかりつけ医:
- 体調の変化に関する相談、診断
- 緊急時の対応方法についての確認
- 専門医への紹介状作成
このように、具体的に「誰に」「何を」頼むかを想像してみましょう。最初は「これくらい自分でやらなきゃ」と思ってしまうことでも、「頼る」という選択肢を持つだけで、気持ちが楽になることがあります。
リスト作成のステップ3:連絡先と一緒に整理する方法
書き出した「頼れる人・頼れること」は、いつでも見られるように整理しておくことが重要です。
- ノートに手書き: 大きな字で、分かりやすい言葉で書きましょう。見開きの左側に「頼れる人(氏名、続柄、電話番号、関係性など)」、右側に「頼めることの例」のように分けても良いでしょう。
- パソコンやタブレットで入力: WordやExcel、またはメモアプリなどを使っても良いでしょう。ただし、デジタルに慣れていない場合は、操作が簡単な方法を選んでください。印刷しておくと、電源が入らないなどのトラブル時にも安心です。
- 緊急連絡先リストと一緒にする: 普段から作成している緊急連絡先リストに、「この件はこの人に相談」といった情報を追記する形でも構いません。
ポイントは、「あなたが一番見やすく、いざという時にすぐ手に取れる場所」に保管することです。冷蔵庫のドアに貼る、いつも使うバッグに入れておく、電話機のそばに置くなど、自分にとって最適な場所を見つけてください。
リストを「見せる」「共有する」ということ
作成したリストは、もしもの時にあなたが動けなくなった場合のために、信頼できるご家族や本当に困ったときに頼れる可能性のある方に見せておいたり、コピーを渡しておいたりすることを検討してみましょう。
「もしもの時は、このリストを見て、この人に連絡してほしい」と伝えておくことで、万一の事態にも落ち着いて対応してもらいやすくなります。ただし、リストには大切な個人情報が含まれるため、共有する相手は慎重に選びましょう。
定期的にリストを見直すことの大切さ
連絡先が変わったり、頼れる人の状況が変わったりすることもあります。また、あなた自身の状況や「頼みたいこと」が変わることもあるでしょう。年に一度、あるいは状況の変化があった際に、リストを見直して最新の情報に更新することをおすすめします。
まとめ:リスト作りで、一人暮らしに「安心」をプラス
「頼れる人・頼れることリスト」を作る作業は、「自分が誰に頼れるのだろうか」と改めて考える良い機会になります。そして、リストが完成すれば、「いざという時、一人きりではない」という安心感を得ることができます。
全てを一人で抱え込まず、周りの力も借りながら、あなたらしいペースで安心して未来を迎えるための準備を進めていきましょう。このリスト作りが、その一歩となることを願っています。