一人暮らしの「もしも」に備える 安心のための準備リスト
はじめに：一人暮らしで迎える「もしも」の不安を安心に変える準備
一人暮らしをしていると、「もしも急に体の具合が悪くなったら？」「災害が起きたらどうしよう？」といった不安を感じることは、誰にでもあるかもしれません。特にご高齢になり、ご家族が遠方に住んでいたりすると、こうした不安は一層大きくなることもあるでしょう。
でも、ご安心ください。こうした「もしも」の状況は、事前の準備で大きく安心に変えることができます。日頃から少しずつ備えておくことで、いざという時に冷静に対応できるようになります。
この記事では、一人暮らしの方が安心して毎日を送るために、どのような準備をしておけば良いのか、具体的な「準備リスト」としてご紹介します。焦らず、できることから一つずつ始めてみましょう。
どのような「もしも」に備える？想定される状況
「もしも」の状況には、いくつかの種類があります。備えを進める前に、どのような状況が考えられるかを知っておくことが大切です。
- 急な体調不良や病気、ケガ: 自宅で倒れてしまったり、救急車を呼ぶ必要があったりする場合です。
- 災害: 地震、台風、大雨などにより、避難が必要になったり、自宅で孤立したりする場合です。
- 自宅のトラブル: 火災、水漏れ、泥棒の侵入、鍵の紛失などが発生した場合です。
- 詐欺や悪質な訪問販売: 不審な電話や訪問があった場合です。
こうした状況に備えることで、慌てずに適切な行動をとるための助けになります。
いざという時のための安心準備リスト
では、具体的にどのような準備をしておけば良いのかを見ていきましょう。
### 1. 緊急連絡先の整理と共有
これが最も大切かもしれません。もしもの時に誰に連絡するか、連絡先をすぐに確認できるようにしておきましょう。
- 家族の連絡先: お子さんやお孫さん、ご兄弟など、すぐに連絡が取れる家族の電話番号（携帯電話、固定電話）をリストアップします。
- 親しい友人や近所の方の連絡先: 困ったときに助け合える方の連絡先も加えておくと安心です。
- かかりつけ医や病院の連絡先: 持病がある方や定期的に通院している方は必須です。夜間や休日の連絡方法も確認しておきましょう。
- ケアマネジャーや訪問介護事業所の連絡先（利用している場合）: 日頃から頼っている方に連絡が取れるようにしておきます。
- 地域の包括支援センターの連絡先: 高齢者の様々な相談に乗ってくれる公的な窓口です。地域の支援につながる第一歩にもなります。
- 警察（110番）、消防・救急（119番）: 緊急時には迷わずここに連絡できるよう、番号を控えておきます。
【準備のポイント】 これらの連絡先を、手書きまたはパソコンでリストにし、常に目の届く場所（冷蔵庫のドア、玄関、電話の横など）に貼っておきましょう。携帯電話に登録するだけでなく、紙のリストも必ず用意してください。また、信頼できるご家族や近所の方にも、このリストの存在を伝えておくと、さらに安心です。
### 2. 医療情報と服用薬の整理
緊急時に医療関係者に正確な情報を伝えるために、ご自身の医療情報をまとめておきましょう。
- かかりつけ医の名前と連絡先
- 現在服用している薬の名前と量、服用時間: お薬手帳を常に整理しておきましょう。
- アレルギーの有無
- 持病やこれまでに経験した大きな病気、手術などの履歴
【準備のポイント】 これらの情報をまとめたメモを、お薬手帳と一緒に保管したり、緊急連絡先リストと一緒に置いておいたりします。緊急時に救急隊員に見つけてもらいやすい場所が良いでしょう。
### 3. 自宅の安全確認と防災対策
自宅で安全に過ごすための備えも重要です。
- 火災報知器の点検: 定期的に作動確認をしましょう。
- 家具の固定: 地震に備えて、背の高い家具などが倒れてこないように固定します。
- 避難経路の確認: 火事などの場合に、どこから逃げるか、障害物はないか確認しておきましょう。
- 非常持ち出し袋の準備: 災害時にすぐに持ち出せるように、水、食料、常備薬、着替え、懐中電灯、貴重品などを入れたリュックサックを用意しておきます。玄関など、取り出しやすい場所に置きましょう。
- 自宅の備蓄品: 数日分の水、食料（カンパン、レトルト食品など、火を使わず食べられるもの）、カセットコンロとガス、常備薬、トイレットペーパーなどを少し多めに買い置きしておくと安心です。
【準備のポイント】 地域のハザードマップを確認し、ご自宅周辺の災害リスクを知っておくことも大切です。自治体の防災情報も定期的に確認しましょう。
### 4. 安否確認の方法を決めておく
もしもの時に、ご自身の無事を周囲に知らせる方法を考えておきましょう。
- 見守りサービス: 自治体や民間の見守りサービスを利用するのも一つの方法です。定期的な電話や訪問、緊急通報システムなどがあります。
- 地域包括支援センターへの相談: 心配なことがあれば、地域の地域包括支援センターに相談してみましょう。適切なサービスや地域の支援につながる可能性があります。
- 近所の方との声かけ: 日頃から近所の方と挨拶や声かけをすることで、お互いの安否を気遣える関係を築いておくと安心です。
- 定期的な連絡: 離れて暮らす家族と、週に一度など定期的に電話やLINEで連絡を取り合う習慣をつけることも、安否確認につながります。
【準備のポイント】 地域の民生委員や自治会の活動に参加することも、地域とのつながりを持ち、いざという時の助け合いにつながります。
### 5. 財産・貴重品に関する情報の整理
緊急時や将来、ご自身の財産や大切なものについて、信頼できる人に情報が伝わるように準備しておくと安心です。
- 預貯金通帳、印鑑、キャッシュカードの保管場所
- 年金手帳、保険証券などの重要書類の保管場所
- 自宅の権利書などの保管場所
- 信頼できる人（家族、弁護士など）に伝えておきたい情報
【準備のポイント】 これらの情報をリスト化し、信頼できるご家族などに見つけてもらえる場所に保管するか、情報の存在を伝えておきましょう。ただし、保管場所をリストにする際は、悪用されないよう十分注意が必要です。
日頃から心がけたいこと
これらの具体的な準備に加えて、日頃から心がけておきたいことがあります。
- 健康維持: バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけましょう。健康であることが、もしもの時を乗り切る一番の力になります。
- 地域とのつながり: 近所の方との交流や、地域の趣味のサークル、ボランティア活動などに参加することも、孤独を防ぎ、いざという時の助け合いにつながります。
- 無理をしない: 体調が優れないときは無理をせず、休息をとりましょう。
まとめ：備えは安心への第一歩
一人暮らしで迎える「もしも」への備えは、難しいことではありません。今回ご紹介した準備リストを参考に、できることから一つずつ、ご自身のペースで進めてみてください。
緊急連絡先のリストを作る、非常持ち出し袋を点検するなど、小さな一歩でも、着実に安心へとつながっていきます。不安なことがあれば、地域の地域包括支援センターなどに相談してみることもおすすめです。
未来への不安を抱え込むのではなく、今できる準備をすることで、安心して穏やかな毎日を送ることができるようになります。