わたしの未来サポート

一人暮らしの住まいをもっと安心・快適に：暮らしを支える工夫と知っておきたい支援制度

ご自宅は、一人暮らしをされている方にとって、最も長い時間を過ごす大切な場所です。住み慣れた場所でこれからも安心して、そして心地よく暮らしていくために、今の住まいを少し見直してみませんか。

日々の小さな工夫や、必要に応じて専門的な改修を行うことで、住まいはぐっと安全で快適になります。また、そうした改修をサポートしてくれる公的な制度があることも知っておくと心強いでしょう。

日常の安全性を高める簡単な工夫から

まず、大がかりな工事ではなく、すぐにでもできることから始めてみましょう。

転倒を防ぐための対策:

• 手すりの設置: 玄関、廊下、階段、浴室、トイレなど、移動や立ち座りの際に不安定になりやすい場所に手すりを設置すると、体の負担を減らし、転倒リスクを下げることができます。簡易的なものから、壁に取り付けるしっかりしたものまで様々あります。
• 段差の解消: 室内にある小さな段差でも、つまずきの原因になります。段差解消用のスロープやマットを置く、あるいは敷居を低くするなどの方法があります。
• 滑り止め対策: 浴室や玄関など、濡れて滑りやすい場所には、滑り止めマットを敷くことが有効です。階段には滑り止めシートを貼ることも考えられます。
• 片付けと整理: 床に物があるとつまずきやすくなります。通路やよく通る場所は、常に整理整頓を心がけましょう。

明るさの確保:

• 廊下や階段、玄関など、暗くなりがちな場所に照明を増設したり、より明るい電球に変えたりすることで、足元がよく見え、安全性が高まります。人感センサー付きの照明なら、スイッチを探す手間も省けて便利です。

防犯対策:

• 一人暮らしの場合、防犯も気になるところです。ドアの補助鍵の取り付けや、窓に防犯フィルムを貼るなどの対策があります。また、来訪者を確認できるドアホン（インターホン）は、事前に相手を確認できるため安心です。

快適な暮らしをサポートするリフォーム

少し専門的な改修が必要な場合もあります。特に水回りや玄関などは、体の負担を減らし、安全性を大きく高めることができます。

浴室のリフォーム:

• 滑りにくい床材への変更、浴槽のまたぎ高さを低くする、手すりの設置などが代表的です。ユニットバス全体をバリアフリータイプに入れ替えることも可能です。

トイレのリフォーム:

• 手すりの設置は、立ち座りを楽にしてくれます。和式から洋式への変更や、温水洗浄便座の設置も快適性を高めます。

玄関・廊下のリフォーム:

• 玄関の上りかまちの段差を小さくしたり、スロープを設置したり、手すりを取り付けたりすることが考えられます。車椅子での移動が必要になった場合に備え、廊下幅を広げるといった改修もあります。

知っておきたい公的な支援制度

こうした住まいの改修には費用がかかりますが、公的な支援制度が利用できる場合があります。

介護保険制度における住宅改修:

• 要支援または要介護認定を受けている方は、介護保険を利用して住宅改修を行うことができます。手すりの取り付け、段差の解消、滑り止め床材への変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器への取替えなどが対象となります。原則として、改修費用の9割または8割が保険から給付されます（上限額があります）。利用にはケアマネージャーへの相談が必要です。

自治体による住宅改修助成制度:

• お住まいの市区町村によっては、高齢者向けの住宅改修助成制度を独自に設けている場合があります。介護保険の対象とならない工事や、対象者であっても介護保険の上限を超えた分について、助成が受けられる可能性があります。お住まいの自治体のウェブサイトを確認したり、窓口に問い合わせてみたりすると良いでしょう。

どこに相談すれば良い？

住宅改修や支援制度について詳しく知りたい場合は、以下のような場所に相談できます。

• 地域包括支援センター: 高齢者の暮らしを様々な面からサポートしてくれる地域の総合相談窓口です。
• ケアマネージャー: 介護保険を利用している方のケアプラン作成だけでなく、住宅改修の相談にも乗ってくれます。
• お住まいの市区町村の高齢福祉課など: 自治体独自の助成制度や、利用できるサービスについて情報が得られます。
• 工務店やリフォーム業者: 高齢者向けの改修実績が豊富な業者に相談すると、具体的なプランや費用についてアドバイスをもらえます。

住まいの安全・快適チェックリスト（例）

ご自身の住まいをチェックする際の参考にしてみてください。

• 玄関の上りかまちに手すりはありますか？
• 廊下や階段に手すりはありますか？
• 浴室の床は滑りにくくなっていますか？
• 浴槽をまたぐのが大変だと感じることはありませんか？
• トイレでの立ち座りはスムーズですか？
• 室内につまずきやすい小さな段差はありませんか？
• 夜間、部屋からトイレまでの通路は十分明るいですか？
• 玄関や窓の鍵はしっかりかかりますか？

いくつか気になる点があったら、できることから一つずつ改善を考えてみましょう。

おわりに

住み慣れたご自宅を、これからも安全で快適な「わたしの場所」として保つことは、安心した一人暮らしを続ける上でとても大切です。大きなリフォームでなくても、ちょっとした工夫で暮らしは変わります。

ご紹介したような工夫や支援制度について、「どこから手を付けたら良いか分からないな」と感じたら、まずは地域包括支援センターなどに気軽に相談してみることをお勧めします。専門家が、あなたの状況に合わせて適切なアドバイスや情報提供をしてくれるはずです。

ご自身のペースで、できることから住まいを整えて、これからも心地よい毎日をお過ごしください。