一人暮らしの安心を支える 災害への備えと行動
一人暮らしで考える災害への備え
一人暮らしをしていると、「もし大きな災害が起きたら、自分はどうすれば良いのだろうか」と、漠然とした不安を感じることがあるかもしれません。特に、ご家族が近くにいらっしゃらない場合は、いざという時に頼れる人がそばにいないことへの心配もあるかと思います。
地震、台風、大雨など、日本は自然災害が多い国です。不安をなくすことは難しいかもしれませんが、事前にしっかりと備えをしておくことで、いざという時にも落ち着いて行動できるようになり、安心につながります。
ここでは、一人暮らしの方が具体的にどのような災害への備えができるのか、そして実際に災害が起きた時にどのように行動すれば良いのかについて、分かりやすくご紹介します。
災害が起きる前に準備しておきたいこと
災害への備えは、難しいことばかりではありません。今日からでも始められる身近なことから取り組むことが大切です。
非常用持ち出し袋を用意しましょう
災害発生直後に避難が必要になった場合に備えて、すぐに持ち出せる荷物をまとめておきましょう。リュックサックなどに以下のものを入れて、玄関や寝室のそばなど、すぐに手に取れる場所に置いておくと良いでしょう。
- 食料・飲料: 3日分程度の水(1人1日3リットルが目安)と、調理せずに食べられる非常食(乾パン、レトルト食品、缶詰など)
- 貴重品: 現金(公衆電話や自動販売機などで必要になる場合があります)、通帳、印鑑、健康保険証などのコピー
- 生活用品: 簡易ライト(懐中電灯やヘッドライト)、予備の電池、携帯ラジオ(手回し充電式のものも便利です)、軍手、ホイッスル、タオル、ティッシュ、ウェットティッシュ、ビニール袋
- 救急用品: 常備薬、絆創膏、消毒液、包帯など
- その他: 携帯電話の充電器、マスク、カイロ、アルミシート、筆記用具、家族の写真(はぐれた場合の確認用)
重すぎると持ち運びが大変になりますので、ご自身の体力に合わせて必要なものを選びましょう。
自宅の安全対策をしておきましょう
自宅での安全を確保することも重要です。
- 家具の固定: 背の高い家具(タンス、食器棚など)は、L字金具や突っ張り棒などで壁や天井にしっかりと固定し、転倒を防ぎましょう。
- 窓ガラスの飛散防止: 窓ガラスには飛散防止フィルムを貼っておくと、割れた破片が飛び散るのを防ぐことができます。
- 物の配置: 高い場所に重いものを置かない、寝室に倒れやすい家具を置かないなど、物の配置を見直しましょう。
- ブレーカーの位置確認: 災害発生時に電気火災を防ぐため、ブレーカーを落とすことがあります。ブレーカーの位置を確認しておきましょう。
食料や水を備蓄しておきましょう
ライフライン(電気、ガス、水道)が止まった場合を想定し、自宅で過ごすための食料や水を少し多めに備えておくことも大切です。
- 食料: 少なくとも3日分、できれば1週間分程度の、常温で長期保存できるもの(レトルト食品、缶詰、乾麺、パックご飯など)を用意しましょう。普段から少し多めに買い置きをして、古いものから使う「ローリングストック」という方法を取り入れると、無駄なく備蓄できます。
- 水: 飲料水だけでなく、生活用水(トイレを流すなど)のために、浴槽に水を張っておくなどの準備も考えられます。
地域の情報を確認しておきましょう
お住まいの地域に関する災害情報を事前に確認しておくことが非常に重要です。
- ハザードマップ: 自治体から配布されている、または自治体のホームページで公開されているハザードマップを確認しましょう。ご自宅が洪水、土砂災害、高潮などの危険がある区域にあるか、避難所はどこにあるかなどが分かります。ハザードマップの意味が分かりにくい場合は、自治体の窓口に問い合わせてみるのも良いでしょう。
- 避難場所・避難経路: 自宅から最寄りの避難場所(学校、公民館など)までの道のり(避難経路)を実際に歩いて確認しておきましょう。複数の経路を知っておくと、状況に応じて選ぶことができます。
- 避難情報: テレビやラジオ、スマートフォンの防災アプリなどで発表される避難情報(高齢者等避難、避難指示など)の意味を知っておきましょう。
家族や友人、地域との連絡方法を確認しておきましょう
災害時に離れて暮らす家族や友人と連絡が取れるように、あらかじめ連絡方法を決めておきましょう。
- 連絡手段: 携帯電話が繋がりにくい状況も考えられます。災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板、SNSなどを利用する方法を確認しておきましょう。
- 集合場所: 離れた場所にいる家族と合流する場合の集合場所を決めておくことも有効です。
- 近所の方との交流: 日頃から近所の方と顔を合わせ、挨拶をするだけでも、いざという時の助け合いにつながることがあります。地域の防災訓練に参加してみるのも良い経験になります。
災害が発生したらどう行動する?
実際に災害が起きた時は、状況に応じて落ち着いて行動することが大切です。
まずは身の安全を確保しましょう
地震の場合は、まず丈夫なテーブルの下などに隠れて身の安全を確保します。揺れが収まるまで待ちましょう。窓ガラスや照明器具の破片、家具の転倒などにも注意が必要です。
正確な情報を集めましょう
テレビ、ラジオ、自治体の広報、スマートフォンの防災アプリなどから、正確な情報を得るように努めましょう。デマに惑わされないことが大切です。特に、自治体からの避難情報や被害状況について確認しましょう。
避難の判断と行動
自宅が安全な場所であれば、ライフラインが復旧するまで自宅で過ごす「在宅避難」も選択肢の一つです。しかし、自治体から避難情報が出た場合や、自宅に危険が及ぶ可能性がある場合は、迷わず避難しましょう。
- 避難するタイミング: 避難情報はレベルで示されます。「高齢者等避難」は、避難に時間がかかる人が避難を開始すべき段階です。早めの行動を心がけましょう。
- 避難場所へ移動: 事前に確認しておいた避難経路を通って、指定された避難場所へ移動します。移動が困難な場合は、近所の方や地域の支援に頼ることも考えてみましょう。
- 在宅避難の場合: 自宅で安全に過ごせるように、事前に備蓄しておいた食料や水、生活用品を活用します。電気やガスが止まっている場合は、火を使わない調理法や暖房器具を使用するなど注意が必要です。
周囲との助け合い
大規模な災害では、行政の支援がすぐに届かない場合もあります。日頃から地域の方と良好な関係を築いておくことで、困った時に助け合える可能性があります。無理のない範囲で、周囲の方と声を掛け合うようにしましょう。
まとめ
一人暮らしでの災害への備えは、ご自身の安心を確保するためにとても重要です。非常用持ち出し袋や食料・水の備蓄、自宅の安全対策など、できることから少しずつ準備を進めてみましょう。
そして、お住まいの地域のハザードマップを確認し、避難場所や避難経路を知っておくことは、いざという時の冷静な判断につながります。
また、日頃から近所の方と挨拶を交わしたり、地域の活動に参加したりすることで、いざという時に頼り合える関係が生まれることもあります。
これらの備えは、特別なことではなく、日々の暮らしの中で少し意識するだけで始められます。「わたしの未来サポート」は、皆様が安心してこれからの生活を送れるよう、様々な情報を提供してまいります。