一人暮らしの安心を守る:高齢者を狙う詐欺の手口と対策
近年、一人暮らしの高齢者を狙った様々な詐欺が増えています。大切な財産や個人情報を守り、安心して暮らし続けるためには、どのような手口があるのかを知り、適切な対策をとることが大切です。漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、正しく知ることから始めれば、備えることができます。
この記事では、高齢者を狙う詐欺の代表的な手口と、ご自身でできる具体的な対策、そして困ったときに相談できる窓口についてお伝えします。
高齢者を狙う詐欺とは? なぜ注意が必要なのでしょうか
詐欺犯は、人の親切心や不安な気持ちにつけ込んでお金を騙し取ろうとします。特に、一人暮らしの方は、すぐに家族や知人に相談しにくい状況にある場合があり、狙われやすいと言われています。
また、巧妙な手口で、まるで公的な機関や身内であるかのように信じ込ませようとするため、誰もが被害に遭う可能性があります。しかし、手口を知っていれば、「これは怪しいかもしれない」と気づきやすくなります。
こんな手口にご注意ください:よくある詐欺の種類
詐欺の手口は多様化していますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
電話を使った詐欺(オレオレ詐欺、還付金詐欺など)
- オレオレ詐欺: 家族や孫などを装い、「事故に遭った」「借金ができた」などと嘘を言って、すぐにお金が必要だと振り込みを要求する手口です。声が少し違うと感じても、「風邪をひいた」「携帯を落とした」などと言われることがあります。
- 還付金詐欺: 市役所や税務署、年金事務所などの職員を名乗り、「税金や年金、医療費の払い戻しがある」と言って、ATMで手続きをするように指示する手口です。ATMでお金が戻ってくることはありません。
訪問してきた人からの詐欺(悪質なリフォームや点検商法など)
- 突然「無料点検に来ました」「近所で工事をしています」などと言って訪問し、不安を煽るようなことを言って高額な契約を迫る手口です。屋根や床下を見させてほしいと言われたり、契約を急かされたりすることがあります。
- 消防署員や水道局員などを装い、「点検が必要だ」と言って家に上がり込み、金品を盗んだり、不要な工事を勧めたりすることもあります。
身に覚えのない郵便物やインターネットを使った詐欺
- 送りつけ詐欺: 注文していない健康食品やカニなどが一方的に送りつけられ、代金を請求される手口です。
- 架空請求: 利用していないサービスの料金や、身に覚えのない借金など、嘘の請求書が届く手口です。無視するのが一番ですが、電話をかけてしまうと個人情報を聞き出されたり、支払いを強要されたりすることがあります。
- フィッシング詐欺: 実在する銀行や会社を装ったメールやSMSを送りつけ、「情報を更新してください」「セキュリティのため」などと偽のウェブサイトに誘導し、クレジットカード情報やパスワードなどを盗み取る手口です。
詐欺から身を守るための具体的な対策
詐欺から身を守るために、日頃から意識できることがあります。いくつかご紹介しましょう。
電話がかかってきたら
- 留守番電話機能を活用する: 知らない番号からの電話は留守番電話に設定しておくと、相手が名乗るかどうか確認できます。詐欺犯はメッセージを残さない傾向があります。
- ナンバー・ディスプレイを利用する: かかってきた相手の電話番号が表示されるので、知らない番号からの電話には出ない、といった対応ができます。
- すぐに個人情報を教えない: 電話で家族構成や一人暮らしであること、貯金の状況などを聞かれても絶対に答えないでください。
- 「おかしいな」と感じたら一度電話を切る: 不安や不審な点を感じたら、「確認します」などと言って一旦電話を切り、自分で家族や関係機関に確認を取りましょう。
知らない人が訪ねてきたら
- 安易にドアを開けない: インターホン越しに相手を確認しましょう。
- 身分証明書の提示を求める: 公的機関や会社の者と名乗っても、必ず身分証明書の提示を求め、不審な点があればドアを開けないか、その場で会社や機関に電話で確認しましょう(相手が教える電話番号ではなく、自分で調べてください)。
- 「結構です」「いりません」とハッキリ断る: 不要なものやサービスはきっぱり断りましょう。
- 契約を急かされても応じない: 「今日中に決めないと」「今だけ特別価格」といった言葉に惑わされず、すぐに契約せず、考える時間をもらいましょう。
郵便物やメールが届いたら
- 身に覚えのない請求書は無視する: 利用していないサービスや覚えのない借金などの請求は、連絡せず無視しましょう。
- 不審なメールのリンクは開かない: 銀行や大手企業を装ったメールでも、怪しいと思ったらメール内のリンクはクリックせず、公式のウェブサイトからログインして確認しましょう。
お金の話が出てきたら
- 「ATMで手続きを」は詐欺: 公的機関が還付金などの手続きでATMの操作を指示することは絶対にありません。
- 「コンビニで電子マネーを買って」も詐欺: 料金の支払いを電子マネーで要求されるのは詐欺の手口です。
- 安易に振り込まない: 家族や知人を名乗る相手でも、振り込みを要求されたら、必ず一度電話を切って、相手の本来の連絡先(普段使っている携帯電話など)に確認を取りましょう。
「おかしいな」と感じたら一人で悩まず相談しましょう
少しでも「おかしいな」「これは詐欺かもしれない」と感じたら、一人で抱え込まず、すぐに誰かに相談することが大切です。
相談できる窓口
- 最寄りの警察署: 詐欺の可能性が高いと思ったら、すぐに警察に相談しましょう。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」: 全国の消費生活センターなどにつながる共通の電話番号です。製品やサービスに関するトラブル、悪質商法などの相談に乗ってくれます。
- 地域の消費生活センター: 各自治体に設置されている相談窓口です。
家族や友人との情報共有
離れて暮らしているご家族や、近所のお付き合いのある方、友人と、日頃からコミュニケーションを取り、「怪しい電話があったよ」「こんなチラシが来たよ」などと情報共有することも有効です。一人で判断せず、誰かに話してみるだけで冷静になれることがあります。
まとめ:知ることから始める安心づくり
高齢者を狙う詐欺の手口は巧妙ですが、どのような手口があるのかを知っておくこと、そして、「怪しいな」と思ったら立ち止まり、誰かに相談するという行動をとることで、多くの被害を防ぐことができます。
ご紹介した具体的な対策を参考に、日々の生活の中で少し意識してみてください。不安な気持ちを抱え込まず、地域の相談窓口やご家族、友人など、頼れる人とのつながりを大切にしながら、安心な一人暮らしを守っていきましょう。