一人暮らしで知っておきたい年金・医療費・税金 安心のための公的なお金の話
一人暮らしで生活されていると、日々の暮らしだけでなく、将来のお金についても漠然とした不安を感じることがあるかもしれません。特に年金、医療費、税金といった公的なお金の話は、少し難しく感じることもあるかと思います。
しかし、これらの制度の基本的な仕組みや、自分に関係する情報を少し知っておくだけで、将来への安心感はぐっと高まります。この記事では、一人暮らしの方が知っておきたい、年金、医療費、税金に関する基本的な情報と、それらの情報をどのように整理していけば良いかについて分かりやすくお伝えします。
一人暮らしで知っておきたい「年金」の基礎
年金は、老後の生活を支える大切な収入源です。ご自身の年金がいくらなのか、いつ振り込まれるのかなどを把握しておくことは、毎月の生活設計を立てる上で非常に役立ちます。
ご自身の年金額を確認するには
毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で、これまでの加入期間や将来受け取れる年金額の目安を確認できます。書類の見方が分からない場合や、より詳しい情報が知りたい場合は、お近くの年金事務所に問い合わせることも可能です。
また、「ねんきんネット」というインターネットサービスを利用すると、いつでもご自身の年金情報を確認できます。操作に不安がある場合は、ご家族に手伝ってもらうか、年金事務所の職員の方に相談してみてください。
年金に関する注意点
年金は原則として2か月に一度、偶数月に前月分と前々月分が振り込まれます。振込月や振込日を知っておくと、お金の管理がしやすくなります。
また、年金受給者でも、扶養する親族がいる場合などは「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出することで、所得税の控除を受けることができます。この申告書はがきは毎年送られてきますので、内容を確認し、必要があれば提出しましょう。
「医療費」について知っておきたいこと
年齢を重ねると、病院にかかる機会が増えることがあります。医療費についても、基本的な仕組みを知っておくと安心です。
医療費の自己負担割合
75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に加入し、医療費の自己負担割合は原則として1割または2割です。現役並みの所得がある場合は3割負担となります。ご自身の負担割合は、お持ちの保険証や後期高齢者医療被保険者証に記載されていますので確認してみましょう。
高額療養費制度
医療費の自己負担額が1か月(同じ月内)で上限額を超えた場合、その超えた分が高額療養費として支給される制度です。上限額は所得によって異なります。事前に手続きをして「限度額適用認定証」を提示すると、窓口での支払いが上限額までとなる場合もあります。この制度について詳しく知りたい場合や手続きについては、ご加入の健康保険組合や後期高齢者医療広域連合、お住まいの市区町村の担当窓口に問い合わせてみましょう。
健康維持と医療費
日頃から健康に気を配ることは、医療費の負担を抑えることにもつながります。特定健診や人間ドックを定期的に受診したり、自治体が行っている健康相談や健康教室に参加したりするのも良いでしょう。
お薬手帳を常に携帯し、複数の病院にかかる際にも提示することで、お薬の重複や飲み合わせによる体への負担、無駄な医療費を避けることができます。
医療費控除
1年間(1月1日~12月31日)にかかった医療費が一定額を超えた場合、確定申告で医療費控除を申告すると、所得税や住民税が軽減されることがあります。ご自身の医療費やご家族(生計を一つにしている)の医療費を合計して申告できますので、領収書などをまとめておくと良いでしょう。
「税金」の基礎知識(住民税など)
年金を受け取っている場合も、税金がかかることがあります。特に一人暮らしの場合に関係しやすい住民税について見ていきましょう。
住民税と所得税
住民税は、お住まいの市区町村に納める税金で、前年の所得に応じて計算されます。所得税は国に納める税金で、これも所得に応じて計算されます。
公的年金は、原則として税金(所得税や住民税)の対象となります。ただし、年金収入額が一定以下の場合や、扶養控除などを受けることで、税金がかからない場合もあります。
確定申告・年末調整
年金収入のみの方は、原則として確定申告は不要です。年金から所得税が源泉徴収され、年末調整の対象となるからです。ただし、年金以外に不動産収入や個人年金などがある場合、または医療費控除などで税金の還付を受けたい場合は、確定申告が必要になることがあります。
住民税については、確定申告や年末調整のデータに基づいて市区町村が税額を計算し、納税通知書を送ってきます。
税金に関する相談
税金について分からないことがある場合は、お住まいの市区町村の住民税担当窓口や、所轄の税務署に相談することができます。
公的なお金の情報を「整理」するヒント
年金、医療費、税金に関する情報は、それぞれから送られてくる通知書などで確認できます。これらの書類をまとめておくことで、必要な時にすぐに見返したり、家族や専門家に相談したりする際に役立ちます。
簡単な整理方法
- ファイルボックスや封筒を使う: 年金関係、医療費関係、税金関係など、種類別に書類をまとめておくと分かりやすいです。クリアファイルに入れてから封筒やボックスに入れるのも良いでしょう。
- 重要な情報をメモする: 「ねんきん定期便は毎年〇月に届く」「年金振込日は〇日」「医療費控除には領収書が必要」など、重要なことや手続きの時期などをメモしておくと、忘れずに済みます。ノート一冊にまとめておくのも良いでしょう。
- 問い合わせ先を控える: 各書類に記載されている問い合わせ先(年金事務所の電話番号、市区町村の税務課など)を控えておくと、疑問が生じたときにすぐに連絡できます。
すべてを完璧に理解しようと難しく考える必要はありません。まずは届いた書類を確認し、種類別に分けてみることから始めてみましょう。
困った時の相談先
公的なお金に関する不安や疑問は、一人で抱え込まずに相談できる場所があります。
- 年金について: お近くの年金事務所
- 医療費について: ご加入の健康保険組合、後期高齢者医療広域連合、お住まいの市区町村の高齢福祉課など
- 税金について: お住まいの市区町村の住民税担当窓口、税務署
- お金全般や生活の困りごと: 地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の様々な相談に対応してくれる心強い味方です。どこに相談したら良いか分からない場合でも、まずは地域包括支援センターに連絡してみるのが良いでしょう。
まとめ
一人暮らしで知っておきたい公的なお金の話として、年金、医療費、税金の基礎知識と、情報の整理方法、相談先についてお伝えしました。
これらの情報は少し複雑に感じられるかもしれませんが、ご自身の状況に合わせて基本的な部分を理解し、必要な書類を整理しておくことは、安心して将来を迎えるための大切な一歩となります。
もし分からないことや不安なことがあれば、一人で悩まず、ご紹介したような相談窓口をぜひ利用してみてください。この記事が、あなたの安心した未来につながる一助となれば幸いです。