一人暮らしの安心を支える 困ったときの相談先とつながりづくり
一人暮らしで感じる「困ったな」や「不安」について
一人暮らしをしていると、「こんな時、誰に聞けば良いのだろう」「もし何かあったらどうしよう」と、ふと不安を感じたり、ちょっとしたことで困ってしまったりすることは、決して特別なことではありません。多くの方が、様々な場面で同じような気持ちを抱えています。
大切なのは、そういった「困ったな」や「不安」を一人で抱え込まないことです。困りごとを解決するための手助けや、気持ちに寄り添ってくれる人は、実はあなたの身近な地域にも、様々な形で存在しています。この先も安心して自分らしく暮らしていくために、困ったときに頼れる場所や人、そして日頃からの「つながり」について考えてみませんか。
どんな「困りごと」がある可能性があるか
日々の暮らしの中で起こりうる困りごとは、多岐にわたります。例えば、次のようなことはありませんか。
- 健康に関すること: 体調がすぐれないが病院に行くか迷う、健康診断について知りたい、介護が必要になったらどうしよう、など
- お金に関すること: 年金や税金の手続きが分からない、生活費が足りるか不安、詐欺の電話がかかってきた、など
- 手続きや暮らしに関すること: 役所の手続きが複雑で分からない、一人でできるか不安な作業がある、住まいについて心配なことがある、など
- 人間関係や心の状態: 孤独を感じる時間が増えた、話し相手がいない、趣味を始めたいがきっかけがない、など
- 緊急時: 急な体調不良、災害が起きたとき、自宅で転んでしまった、など
こうした様々な困りごとに対し、どこに相談すれば良いのか、いくつか具体的な例をご紹介します。
頼れる相談先や窓口を探してみましょう
困りごとを解決するための情報やサポートは、様々な場所にあります。主な相談先を知っておくだけでも、いざという時に安心につながります。
地域包括支援センターをご存じですか?
地域包括支援センターは、高齢者のみなさんを、介護、医療、保健、福祉など様々な面から総合的に支えるための拠点です。市区町村が設置しており、主任ケアマネージャー、社会福祉士、保健師などが配置されています。
どんな相談ができるかというと、例えば次のようなことです。
- 介護保険の利用について知りたい
- 最近、体力が落ちてきた気がするが、どこに相談すれば良いか
- 近所に心配な高齢者がいる
- 詐欺や悪徳商法に遭わないか心配だ
- もの忘れが気になる、家族の介護について相談したい
など、健康や暮らし、権利擁護など、幅広い相談に乗ってくれます。相談は無料で、秘密は守られますので、まずは気軽に電話で問い合わせてみるのが良いでしょう。お住まいの地域の地域包括支援センターは、市区町村のウェブサイトや広報誌などで調べることができます。
その他の公的な相談先
地域包括支援センターの他にも、必要に応じて次のような公的な窓口に相談することもできます。
- 市区町村の担当窓口: 福祉課や高齢者支援課など、自治体には様々な専門部署があります。制度の利用や手続きについて、それぞれの窓口で詳しく聞くことができます。
- 民生委員・児童委員: 地域にお住まいの民生委員・児童委員は、住民の立場に立って相談に応じ、必要な支援やサービスへの「つなぎ役」となってくれます。どなたが民生委員かは、自治体の窓口などで確認できます。
身近な頼れる人・場所
公的な窓口だけでなく、日頃から関わりのある身近な存在も、大切な相談相手となり得ます。
- かかりつけ医: 健康に関する不安や疑問は、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。専門的なアドバイスや、必要であれば専門機関への紹介もしてくれます。
- 友人・知人: 気心が知れた友人や知人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。お互いに困ったときに助け合える関係は、大きな支えになります。
- 地域の交流サロンやサークル: 地域には、自治会館や集会所などで開催されている高齢者向けのサロンや、趣味のサークルなどがあります。こうした場所に参加することで、新しい友人や知人ができ、自然と相談しやすい関係が生まれることがあります。情報の交換の場にもなります。
日頃から「つながり」をつくっておく大切さ
困ったときにすぐに相談できる相手がいるかどうかは、日頃からの「つながり」にかかっています。急に何かあった時に慌てないためにも、普段から地域の人や友人、ご近所の方との関わりを持っておくことはとても大切です。
地域の行事に参加してみる、近所の方と挨拶を交わす、趣味の教室に通ってみるなど、無理のない範囲で人との関わりを持つ機会をつくってみましょう。こうした日々のつながりが、孤独を感じる時間を減らし、心身の健康を保つ上でも良い影響を与えてくれます。
「もしも」に備える情報整理
緊急時に慌てないために、普段から少し準備をしておくと安心です。
- 緊急連絡先リストの作成: 家族、親戚、友人、かかりつけ医、地域包括支援センターなど、緊急時に連絡を取りたい人の名前と電話番号をリストにして、分かりやすい場所に貼っておきましょう。
- かかりつけ医や相談窓口のメモ: 病院の診察券と一緒に、地域包括支援センターなどよく利用する相談先の電話番号などをまとめておくと便利です。
こうした準備は、「もしも」の時だけでなく、日々の安心感にもつながります。
まとめ:一人で悩まず、まずは一歩踏み出してみましょう
一人暮らしで感じる困りごとや不安は、決して恥ずかしいことではありません。大切なのは、一人で抱え込まず、「誰かに相談してみよう」「どこかに行ってみよう」と一歩踏み出す勇気を持つことです。
今回ご紹介した地域包括支援センターをはじめ、様々な相談先や、あなたを支えてくれる「つながり」が地域には存在しています。まずは身近なところから、少しずつ関わりを持ってみることで、これからの暮らしがより安心で豊かなものになるはずです。もし今、何か少しでも困っていることや不安なことがあれば、ぜひこの情報が、最初の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。